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株式会社設立の注意点

株式会社設立にあたって大切なことは、法令が定めるルールを守りながらリスクと無駄な出費を抑えて、効率的な事業運営が可能となるよう、会社の根本規則となる定款に反映させることです。

1.商号決定の注意点
2.会社役員の任期を定める際の注意点
3.事業目的を定款に記載する際の注意点
4.資本金の額の決定についての注意点
5.株式についての取決めの仕方について
6.本店の所在地を決定する上での注意点
7.決算月の設定の仕方について

商号決定の注意点

事例
株式会社設立に類似商号の調査は必要なくなったと聞いて、調査せずに会社を設立したところ近くに既に同じような商号の会社があり、使用差止めや損害賠償請求こそされなかったが、商号変更をすることとなってしまった。変更に伴いその費用や印刷物の刷り直しなどで損失が発生した。

使用できない商号

1.不正の目的をもって他の会社と誤認させるような商号
2.有名企業と同一または類似した商号
3.「株式会社」が前か後ろに入っていない
4.「銀行」、「保険」などその事業者だけに使用が許される文字を入れているもの

上記1.2.の商号を使用した場合は、法律上使用差止めや損害賠償請求の対象となりますので、商号の調査は株式会社設立の手続きに入る前に行っておくとトラブルを回避できます。

会社役員の任期を決定する際の注意点

事例
2年ごとの取締役任期の重任手続きが、面倒であったため任期10年にしたところ、そりが合わずに解任した取締役から、任期満了までの正当な権利を奪われたとして損害賠償請求を受けた。

役員の任期は慎重に決めてください

非公開会社(株式譲渡制限会社)では、取締役等の任期を最長10年と定めることができます。
小刻みな役員の重任に伴う変更登記により、登録免許税や手間等の負担を避けるとの合理的理由と任期伸長によるリスクのバランスを取った任期設定が必要となってきます。

取締役等を解任するには正当な理由が必要で、何の落ち度も役員を単にそりが合わないとの理由で、解任することはできません。任期は人間関係のリスクを勘案し、あまり長期に設定しないほうが賢明です。

事業目的を定款に記載する際の注意点

事例
定款の事業目的が、営業許認可を取得するために必要な記載になっていなかったため、事業目的の変更登記手続きで余分な費用と時間がかかり、事業計画にも遅れが生じてしまった。

事業目的の具体性について

会社法では、旧法時に必要であった事業目的の具体性については、登記においても審査対象から外され考慮を要しなくなりました。「建設業」や「サービス業」など、具体性を欠く事業目的でも受理されます。

しかし現実には金融機関や取引先との関係では、具体的な事業目的が記載されていないと支障を及ぼす可能性があります。また営業許認可を受ける際にも、役所の審査官に要件該当性について、疑義を生じさせる可能性があります。

以上のことから、事業目的は具体的に定款に記載することをお勧めします。また事業目的が適法であるか不安な方は、関係官庁や専門家にご相談ください。

資本金の額についての注意点

事例
資本金が営業許認可の要件をクリアできず、また資金調達もままならず事業計画に大幅な狂いが生じてしまった。

資本金の決め方について

資本金を決めるに当たっては、通常事業開始から当面の運転資金として必要な分を計上するのが一般的です。すぐに底をついてしまうようでは、経営者の持ち出し又は金融機関からの借り入れにより資金繰り悪化要因となります。

資本金は銀行や取引先からの信用獲得に影響を及ぼしますので、業界や営業規模に見合った準備が必要になります。金銭に限らず現物出資(会社の備品となるPCや自動車など)により資本金を底上げすることもできます。

ただし資本金1,000万円以上の場合は、設立1期目と2期目の消費税免税事業者としての恩恵を受けることができなくなります。なお、上記事例のように営業許認可を取得する上で、資本金額や資金調達能力の要件をクリアすることを求められるものがありますので、事前の調査が不可欠です。

株式についての取決めの注意点

事例
株式の売渡請求の条項を定款に入れなかったため、役員の相続人に株式が分散してしまい、経営の継続ができなくなってしまった。

事業承継を視野に入れた定款作成

株式会社の経営にとって好ましくない者が参加しないように、株式の譲渡制限をしておくことと株式の相続人等に対して、売渡し請求ができるよう会社の根本規則である定款に、取決めをしておくことが必要です。

事業承継にとってのポイントは、経営権の承継・会社資産の承継・後継者の能力が重要な要素となりますが、自社株式の分散を防止して議決権を後継者に集中させることが基本となります。

本店の所在地を決定する上での注意点

事例
定款に本店所在地を地番まで記載してしまったため、本店の移転に当たり変更登記の費用と時間がかかってしまった。

費用節約のための定款作成

株式会社設立の登記には、本店所在地は地番までの記載が必要ですが、定款には最小行政区画(横浜市、藤沢市など)の記載で足ります。このような場合は、管轄法務局内での移転には変更登記の必要はなく、登録免許税3万円と手続きの手間を省けます。

決算月を設定する際の注意点

事例
株式会社設立の際、大企業と同様に4月1日から3月31日までを事業年度としたため、決算月と支払いや在庫が膨らむ時期が重なり、大変忙しくなってしまった。また消費税免税事業者の恩恵を受ける期間も、大幅に短くなってしまった。

自由な決算月の設定ができます

株式会社は自由に決算月を設定できますので、会社の実情に合った取決めをすることが賢明です。また、資本金1,000万円未満でスタートした株式会社は、1期目と2期目は消費税免税事業者となりますので、設立月からなるべく遠い月を決算月にすることで、2年間丸々納税義務を免れることができます。

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